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昭和マイルド

興味がある間取りは
ウォーターセクション
――半田健人

昭和40年男が残したもの

昭和に詳しすぎる俳優・歌手として知られる半田健人が登場。昭和を理解するには居住環境を知ることが重要であるとの持論をもつ昭和文化史の論客に語ってもらった。

※この記事は雑誌『昭和40年男』2022年10月号に掲載したものを一部抜粋したものです。

ご存じの方も多いであろう。昭和59年生まれの半田健人のさまざまな事柄に対する博覧強記ぶりは、単なる昭和好きを超えてもはや研究者の域に達している。今回は一過言あるという、昭和の住宅について語ってもらった。

「僕は“昭和レトロ”と言われている、当時のインテリアや雑貨には興味がないんです。昭和のリアリティを追究している僕に言わせれば、当時はそんなお洒落なインテリアや雑貨に囲まれた生活をしていた人は実際にはそんなにいなかったんじゃないかと。部分的に使っていた人はいたかもしれないけど、完璧にインテリアをそろえて、楽しんでいた人は一握りしかいなかったんじゃないかと思います」

「70年代までのマンションは基本和室。渋谷にあった宮益坂ビルディングも、外観はモダンなコンクリート造りですが、部屋の中は完全に和室でした。昔はフローリングであっても今と違って寄せ木みたいな造りが多かったし、クロスで部屋を覆うような設計もなかった。80年代以降、分譲マンションの初期仕様でようやく壁紙が柄になり始めました」

今で言うデザイナーズマンションは70年代初期から建ち始めたそうで、71年建築の港区三田の綱町パークマンションがお気に入りだそう。土地がない東京では住宅不足を団地やマンションで補うしかなく、その境目は68年頃だっただろうと指摘する。

「当時の部屋で僕が注目するのは水まわり。壁紙や床材や家具にはその時代の流行が反映されますが、風呂、洗面台、トイレの水回りは技術が優先される。その歴史を追っていると、如実に日本の住居の進化の過程が見えてくるんです。今僕がハマっている間取りは、元祖ユニットバスとでも言いますか、単純に水道管を必要とするものを一部屋にまとめただけというもの。今でも古いアパートにたまにあって、非常に使いづらそうなんですが、その気持ち悪さにハマっちゃうんですよ」

取材時に持参された71年の『新建築』という雑誌には、半田の言う水まわりを示すように″ウォーターセクション”という文字が書かれていた。

『新建築』(1971年5月号)。

半田健人/はんだけんと
昭和59年、兵庫県出身。2001年、男性ファッション誌のコンテストを経て芸能界入り。03年『仮面ライダー555(ファイズ)』で主演。昭和歌謡への造詣も深く、テレビやイベントへの出演及びカバーやオマージュ作品を多く発表している。

取材・文:鈴木啓之
撮影:石塚康之