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昭和マイルド

『罪の棘』心に茨をもち
抜けない棘が刺さった
人間模様を描いた秀作

グッドインフォメーション

釈放中の女、彼女の保護司を務める、25年前に実刑判決を受けた男、25年前に父を亡くした刑事。3人の運命が絡み合う

人は誰も心に茨をもち、抜けない棘が刺さっている。それは人が生きていくうえで、避けられない痛みである。他人には言えない苦悩や葛藤を受け入れ、どこかで折り合いをつけ、その条件下で生きていく。それが人生といえる。

が、その茨や棘が法によって禁じられた罪、犯罪であった場合、その痛みは深く、複雑である。罪を償い、更生への道を歩む道のりは容易ではないことは想像に難くない。その者に刺さった棘は一生抜けることはないだろう。十字架を背負って生きるしかないのだ。だが、日常において犯罪とは隣り合わせである。いつ自分が被害者、もしくは加害者になってしまうか。それは誰にも分らない。

映画『罪の棘』は過去に罪を背負った人間たちの葛藤と再生を描くヒューマンドラマだ。主人公の絵李香は、男に騙され薬物事件の実刑を受けたあと出所。世間に馴染めない彼女を更生させるべく保護司となった岩永もまた強盗事件で服役したことのある男だ。どちらも逃れられない環境と、犯罪に関わってしまった過去に向き合い、厳しい現実の中で生きようとする。岩永が関係した事件で父を失った刑事・藤堂もまた複雑な感情をもつ人物である。当時の事件と新たに発生した連続強盗との関連を疑い、岩永を執拗に追い続ける、その過程で複雑に交錯していく3人の行方が切ない。

劇中、岩永の愛車として1975年式のスカイブルーのトヨタセリカが登場する。絵李香が閉ざした心を開くきっかけになるなど、物語のカギを握る存在となるのだが、本作にはどこか70年代の日本で撮られた青春映画(ATGものなど)のような空気感を漂わせているところがあり、セリカはそれらへのひとつのオマージュからなのだろうかと思わせる。

監督は「特命係長 只野仁 最後の劇場版」の植田尚。絵李香役には、映画初主演となるモデルの雅玭、そのほか岩永役を脇知弘、藤堂役を勝矢が務めた。さらに山崎真実、三浦浩一らが脇を固める。

©ストーンプロダクション

『罪の棘』
6/26(金)より池袋シネマ・ロサ他にて全国順次公開
出演:雅玭、脇知弘、山崎真実
一瀬綾花、ほしら、緑川雄志、髙城桃花、小川雅史、青海衣央里
川原英之、朝日音羽、関幸治、大滝明利、西山啓介、西村西矢、大塚かよ、三浦浩一(友情出演)、勝矢
監督:植田尚
配給:渋谷プロダクション

取材・文:編集部