昭和マイルド ディレクターの「わざわざ飾らなくてもいい」おうちの昭和グッズコラム/『飾り窓のデコイ』第2回
友人を家に招いたときに「面出し(めんだし)の多い家だね」とツッコまられた。確かに棚にレコードをわざわざ面で見せて飾っているし、フリスビーや古いメジャーリーグヘルメットを壁にかけているから間違いない。僕は昭和50年代頃の若者の部屋を古雑誌で見るのが好きなのだが、彼らのなんと面出しの多いことか。ポスター、サーフボード、ギターに、お気に入りの洋服や、シューズまで。考えてみるとあの頃の若者は、現代よりずっと「鑑賞して楽しむ」文化の中にいたのかもしれない。1988年生まれの筆者の世代には、主張の多い部屋はあまりお洒落と捉えられない。でも、思う存分飾って、眺めて、暮らすのって結構楽しいもんなんだよと声高に伝えたい。今日も僕は飾り窓のデコイを見て、幸せな気持ちになっているから。
日本最古の洋装ファッションブランドとして知られるVANにはいくつもの事業があって、70年代当時はインテリアや、カトラリーなどを扱う、GREEN HOUSEやORENGE HOUSEといったショップ&ブランドも注目を集めていた。彼らのクリエイションは数十年経った今でも色褪せないどころか、新鮮なものがたくさんあるから定期的に探している。そこで今回は自分のコレクションの中から、特に今ではお目にかかれないであろう収納用品を紹介したい。GREEN HOUSEのこのハンガーは、昭和の名車ビートルとサーフボードをモチーフに作られた逸品(ハンガーにファンシーを取り入れるなんて、便利ばかりを求めている今の時代にはほんとにありえない発想だ)。あまりの愛くるしさから、散歩の際に使うウインドブレーカーなんかをかけたくて玄関先に吊るしているのだけど、ただこれが残念なことにまったく出番がやってこないのである。なぜかというと、そもそもプラ素材で心もとないことに加え、服をかけてしまったら、せっかくのこのデザインが見えなくなってしまうから! とはいえ用途を果たさずとも面出ししておきたくなるコイツのやっぱりなんとカワイイことか。ナイスアイデアなようで、使い勝手を度外視したハンガー。だからこそいいんじゃないか。
トロピカル松村
とろぴかる・まつむら|1988年兵庫県生まれ。昭和マイルド、CRTジーンズのディレクター。POPEYE Web編集ライター。サーフィン誌の編集者を経て2017年独立。昭和50年代・西海岸ブーム期の私設博物館を2025年に閉館。著書『MY NIPPON SURFING SOUNDS』がある。






