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昭和マイルド

昭和の爆笑
懐かCM名シーンを
思い出そう!

昭和40年男が残したもの

1970年代のテレビコマーシャルは、ギャグネタの宝庫。また、いずれも「このCMにはこの人が必須!」と起用された意図がよくわかる商品とタレントのマッチング力もさすが。インパクト絶大のお笑いCMは、実は商品の個性や特徴が一発でわかる名作揃いなのだ

※この記事は雑誌『昭和40年男』、2022年12月号に掲載したものです。

新グロモント(ライオン)

ただ「疲れたー」と方言でしゃべってるだけなのに。

「ファイト一発」「24時間働けますか」など栄養ドリンク剤のCMには名コピーが多い。新グロモントは当時中外製薬から発売されており、70年代初頭の「がんばらなくっちゃ」に続くヒットCMがこちら。農作業中のおじさんが放つ「ちかれたびー」は、秋田地方の方言で、ただ喋っているだけなのに、無性に真似したくなる中毒性がある。

マックロード
(松下電器産業 現・パナソニック)
運動神経抜群!仲本工事の名パフォーマンス。

1977年に松下電器が初めて発売した、VHS方式のビデオデッキが「マックロード」。倍速、静止、コマ送り機能が売りで、ザ・ドリフターズの仲本工事が出演したCMでは、ボクサー姿で「コ・マ・お・く・り・も・で・き・ま・す・よ」と本当にコマ送り風の動きで爆笑を誘った。商品内容は確実に伝わっているところがお見事である。

パナカラー クイントリックス
(松下電器産業 現・パナソニック

戦前の名コメディアンが放ったスーパーギャグ。

戦前の名コメディアンが放ったスーパーギャグ。外国人との掛け合いで「クイントリックス」という商品名を言わせ、「アンタ外人だろ、発音悪いね」と絶妙なツッコミが話題を呼んだカラーテレビのCM。ハゲにメガネの小柄なおじさんは誰?と子供たちの間で話題を呼び、戦前からの名ヴォードヴィル・グループ「あきれたぼういず」の坊屋三郎の名を知るのはこのCMからだった。


ペヤング(まるか食品 )
四角い顔の桂小益は17年間イメージキャラを好演。

パッケージが長方形のため、四角い顔のタレント起用が条件だったというペヤング。桂小益(現・9代目桂文楽)が初代イメージキャラに起用され、柔道部員に「おっ、四角い顔!」と言われ、部員たちが腰を振り「(ソースが)まろやか~」とやると「もう一丁、行く?」「うっす!」という展開。2013年にはリメイク版も放送された。


マルハチ(丸八木綿)
ボードビリアン?高見山の才能が開花したシリーズ

寝具の訪問販売を主流にしていた丸八真綿は、相撲の高見山をキャラクターに据えたCMで話題を呼ぶ。子どもと踊ったり時代劇風だったり多数のバージョンがあるが、パジャマ姿でディスコサウンドに合わせ軽妙なステップを踏み、独特のダミ声で「マルハッチー!」と企業名を叫ぶバージョンがもっとも印象に残る。

ポテトチップス(カルビー)
藤谷美和子のゆるふわキャラが味わい深い。

「100円でカルビーポテトチップスは買えますが、カルビーポテトチップスで100円は買えません。あしからず」。これだけのCMだが、言いたいことは全部言えている。元祖不思議系女優・藤谷美和子のすっとぼけ具合が可愛らしく、商品を横目でチラ見する表情と、冒頭「100円で」の「ひゃ」にアクセントを置いた独特の発音が笑える。

ヰセキトラクタ
(井関農機 )

のどかな東北弁とトラクターの相性は文句なし。田植え機の「さなえ」は秋田出身の桜田淳子、トラクター「耕太」は岩手出身の新沼謙治と、米どころ東北生まれのタレントを起用して、東北なまりで喋らせるというニーズに合った作りはさすが。当時24歳の新沼がGジャン上下に赤スカーフ姿で「嫁に来ないか」を歌いつつ、「があぢゃん、ぎだよー」と叫ぶなんともほのぼのしたCM。

ボンカレー(大塚食品)
レトルトカレーの作り方もちゃんと教えてくれた。

大ヒット『子連れ狼』のパロディCMで、拝一刀役には笑福亭仁鶴。「3分間待つのだぞ」の名セリフとともに、「子連れ狼」のテーマ曲をパロった「♪ボンボンカレー、ボンカレ~」もつい口ずさんでしまう。ボンカレーの商品パッケージにも登場している松山容子が、一瞬だけインサートされ、実は仁鶴と夫婦役という夢オチネタ。

文:馬飼野元宏
イラスト:あやこる