昭和の終わりから令和の今に至るまで、新人アイドルがデビューイベントで歌唱を披露するイベントスペースが東京・池袋にある。サンシャインシティの噴水広場である。このステージから飛び立っていったアイドルは数知れず。多くのアイドルを観てきたファンにとっての噴水広場とは? その思いを巡らせる。
※この記事は雑誌『昭和40年男』、2024年6月号に掲載したものです。
東京・池袋の高層ビル、サンシャイン60は、地上高239.7m。当時は日本一高いビルとして、1978年4月6日に開業。12年後の90年12月に東京都庁第一本庁舎が竣工するまでは日本一の座を保っていた。その麓、ショッピングモールが連なるサンシャインシティ地下1階の中央にある噴水広場では、開業以来さまざまなイベントやショーが開催されてきた。
なかでも、アイドルのデビューイベントが頻繁に行われ、いつしかアイドルイベントの聖地として定着していったのである。1階や2階からも見下ろせる吹き抜けの構造で、イベント目的でない買い物客も足を止めたり、待ち合わせ場所に使われるようになったことも、池袋の名所のひとつとして親しまれている理由であろう。2016年には大規模なリニューアル工事が施され、大型モニターなど充実した設備を兼ね備えて現在に至る。
サンシャイン60の開業当日、池袋の中学に通っていた筆者は学校帰りに友人たちと訪れ、かなり長い行列について展望台へ昇ったことを憶えている。キャンディーズが解散した2日後だったことが、その記憶をより鮮明にしているのだ。いたいけな中学生にとって、その場所がかつての巣鴨プリズンであったことなどは知る由もなかった。
水族館やプラネタリウムなど、さまざまな施設が置かれたが、その後も自分たちがもっぱら訪れたのは、噴水広場とその周辺だったと思う。ちなみにナンジャタウンが開業するのは、だいぶ後の96年のこと。噴水広場でのイベントの際に物販を取り仕切っていた、サンシャインシティ内の新星堂にもよく通ったものだった。その後も場所を移して営業していたが、今年2月に閉店してしまったようでなんとも寂しい限りである。

80年9月に参加した
三原順子のデビューイベント
噴水広場の有名な伝説となっているのは、85年7月4日に催されるはずだった、おニャン子クラブのデビューイベントだろう。あまりの人気にファンが集まり過ぎて、直前にイベント(「セーラー服を脱がさないで」披露と握手会が予定されていた)が中止となってしまったのだ。危険を回避するためのやむを得ない判断とはいえ、男子中高生たちを大いに悲しませる事件であった。
昭和40年男である自分(ただし早生まれ)にとっては、噴水広場が出来た70年代後半から80年代前半にかけてが最もイベントに参加した時代。そんな筆者にとっての思い出の噴水広場は、高校1年だった80年9月に催された三原順子(現・三原じゅん子)のデビューイベントである。ファンクラブの会員だった自分は、事前に届いていた会報で、9月20日の土曜日にサンシャインシティでデビュー発表会が催されることを知って出かけた。『GOGO!チアガール』などのドラマで埋まっていた忙しいスケジュールの合間をぬってのイベントだったらしい。デビュー曲「セクシー・ナイト」やB面の「ミステイク」他3曲が披露された後にステージ中央にケーキが運び込まれて1週間遅れの誕生祝い。質問コーナーの後、最後にもう一度「セクシー・ナイト」が歌われ、サイン&握手会というプログラムだった。その時本人からもらったサイン色紙を今でも大切に保管していることは言うまでもない。
池袋では、西武百貨店別館の屋上でもイベントがよく行われており、それからちょうど1年後くらいには「少女人形」をリリースしたばかりの伊藤つかさのデビューイベントへ足を運んだことを憶えている。しかし、アイドルのイベントということではやはりサンシャインでの想い出が断然多い。他にも、河合奈保子、松本伊代、早見優、三田寛子等々。もちろん、デビュー時のみならず、すでに新人ではない歌手たちがキャンペーンで訪れる機会も少なくなかった。82年から83年にかけては、バラエティ番組『アップルシティ500』(TBS)の公開生放送に使われたこともあって、多くのスターがステージを踏んだ。
昨今でも、モーニング娘。を筆頭としたハロー!プロジェクトや、その他のアイドルグループにとって、ファンとの交流に欠かせない場所となっている。まさに聖地。今でもサンシャインシティ噴水広場の前を通ると、三原順子のイベントに参加したときの自分を思い出す。





著者が『3年B組金八先生』出演時に見初めて以来ファンクラブに入るほど、ご執心だった三原順子のファンクラブ会報『JUNKOの部屋』。9月発送の第3号の誌面にはしっかりと1980年9月20日(土)に池袋噴水広場でデビューイベントを行うという告知があり、10月発送の4号にはイベントのレポートが掲載されている。上はそのイベント時の直筆サイン






