昭和マイルド ディレクターの「わざわざ飾らなくてもいい」おうちの昭和グッズコラム/『飾り窓のデコイ』第4回
友人を家に招いたときに「面出し(めんだし)の多い家だね」とツッコまられた。確かに棚にレコードをわざわざ面で見せて飾っているし、フリスビーや古いメジャーリーグヘルメットを壁にかけているから間違いない。僕は昭和50年代頃の若者の部屋を古雑誌で見るのが好きなのだが、彼らのなんと面出しの多いことか。ポスター、サーフボード、ギターに、お気に入りの洋服や、シューズまで。考えてみるとあの頃の若者は、現代よりずっと「鑑賞して楽しむ」文化の中にいたのかもしれない。1988年生まれの筆者の世代には、主張の多い部屋はあまりお洒落と捉えられない。でも、思う存分飾って、眺めて、暮らすのって結構楽しいもんなんだよと声高に伝えたい。今日も僕は飾り窓のデコイを見て、幸せな気持ちになっているから。
ハッキリ言って邪魔だけど、思い入れがあってどうしても捨てられないものがあなたの家にあるか問いたい。できれば大きければ大きいほど良くて、もっと言うと倉庫にしまっているのではなく、部屋に置いていたら百点満点だ。生粋の「面出し派」の称号を与えたい。1984年の『ひとり暮らしの部屋(講談社)』という雑誌が好きなのだが、その『男の部屋』を開くと、大きなウルトラマン人形を天井からつるしている人や、自作したという全面ガラス張りのマネキンを部屋の隅に置いている人が載っている。コカ・コーラのベンチのある部屋や、バーベルのある部屋も見られるが、それらは実用性があるから、不必要なものほど良いというのも付け加えたい。ちなみに僕の部屋の”それ”はディスコの看板である。手に入れたのは2006年、高校三年生のとき。自分が生まれるより前に流行っていた80年代初頭の大阪のディスコ「ポイントアフター」の看板を、なぜ僕が持っているのかというと、友達の父親が所有していたものを譲ってもらったから(その人はこの店の常連で閉店するときにいただいたと言っていた)。看板に割れたネオンライトがぶら下がっていて、保管しにくいからとその部分だけ早々に処分したのだが、上京や幾度の引っ越しを経ても、いまだに自分のもとを離れずにいる。110×100cmという実は絶妙にどこにも収まらないサイズ感でとにかく邪魔なのに、なぜ20年以上も所有しているのかというと、処分したらディスコ文化そのものが廃れてしまうような気がしているからだ。
トロピカル松村
とろぴかる・まつむら|1988年兵庫県生まれ。昭和マイルド、CRTジーンズのディレクター。POPEYE Web編集ライター。サーフィン誌の編集者を経て2017年独立。昭和50年代・西海岸ブーム期の私設博物館を2025年に閉館。著書『MY NIPPON SURFING SOUNDS』がある。






