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昭和マイルド

華麗に生きるための音楽
わたしとクレイジーケンバンド
――昭和40年男 竹部吉晃

編集部

なぜクレイジーケンバンドの音楽は我々世代を魅了するのか。その真相に迫るべく、本誌3月売り号で横山剣さんに取材を敢行。ライブレポートを含めて取材・編集後記をまとめました。

本誌3月売り号の特集で5ページのロングインタビューで登場いただいたクレイジーケンバンドの横山剣さん。わたしが本誌の編集に加わる前に関わっていたウェブサイトMUSICSHELFでなにかとお世話になり、2012年に出た『マイ・クレイジーケンバンド』なる書籍の編集に携わったことがあった。これは当時のメンバー全員にインタビューをするという企画で、当初はウェブサイトで掲載していたテキストを1冊にまとめたもの。著者は大野ケイスケさんで、わたしは同サイト編集長の福嶋剛さんと一緒にインタビュー現場に同行したほか、原稿を調整したり、校正したりして、完成まで漕ぎつけた、大作であり労作。ファンなら楽しめること請け合いの一冊である。

その少し後に、レコードやCDのジャケットにクルマが写っている作品ばかりを紹介した『レコジャケ』という本の編集をしたのだが、その冒頭ページのインタビューでも剣さんに登場いただいた。剣さんがクルマに乗っている写真を撮り下ろしたい旨をお願いすると、二つ返事で快諾いただき、本牧のガレージで取材、撮影をすることができた。用意してくれた車種は黒いオースチン・ヒーレー。英国車らしい太いエンジン音の迫力、身体に伝わってくる振動が強烈だったことを、今でも鮮明に覚えている。と思ったら、もう10年も前のことだった。「車のあるとジャケット画が締まるんだよね」という帯コメントが光る、これまた大作であり労作。興味ある方はぜひ。

以来、いやその前からクレイジーケンバンドの音楽はいつも自分の生活のそばにあった。それゆえ本誌に関わるようになってから、いつか剣さんに出てほしいなと思っていたのだが、初登場となったのは、2020年12月号の「日本ロック元年」特集内での「仁義なき不良ロック」の記事。残念ながら取材には立ち会えなかった。でも今度は剣さん自身のことを語っていただくインタビューを掲載したいと願い続けて5年、ついに「華麗なる60代、俺たちはどうする?」特集での登場が実現した。剣さん自身のこと、波乱万丈な人生を語っていただきたかったのだ。

取材の前週に、渋公で行われたCKBのライブへ参加。開演までひとりで席に座っていると隣がなんと高田文夫先生。かねてから本誌を愛読されているということを存じていたので、そのお礼を言うと「毎号買ってるよ。素晴らしいよね。これはなくしちゃいけないよ。大変だろうけど」とおほめの言葉と激励をいただいた。光栄の至り。ライブが始まると、すっくと立ち上がってノリノリで体を揺らす先生を見て励まされた。「西原商会」「肉体関係」(ライムスターが登場)最高。で、「生きる。」。この歌詞に何度救われてきたことか。生で聴く「生きる。」は格別だった。

そして迎えた取材日当日。今回のインタビュアーは前出の福嶋さん。ブッキングもセッティングも福嶋さんにお願いした。福嶋さんだからこそ実現した取材だと思う。ここでの福嶋さんとの再会も感無量。現場は剣さんの勝手を知った福嶋さんの巧みな進行で、CKBの歴史を飾る名曲を引き合いに出しながら、含蓄のある言葉をたくさんいただいた。「声が出る限りは楽しみたい。でもそれが永遠ではないことも理解しているから、いつどうなってもいいぐらいの気持ちで毎日爆発していきたい」「過去と未来を行き来しながら音楽も日々の生活も楽しんでいきたい」等々。紆余曲折、多くの修羅場を潜り抜けてきた人だから言える重みのあるインタビューをぜひ読んでいただきたい。

ちなみに、「華麗なる60代、俺たちはどうする?」の“華麗”は、CKBの最新作『華麗』にもかかっています。

取材・文:竹部吉晃