世はスマートウォッチが普及期を迎えているようだが、今から数十年前、その祖先とも言うべきハイテクな腕時計たちが世界をにぎわせたのを覚えているだろうか。メイド・イン・ジャパンの尖兵による興亡の足跡がここにある。
※この記事は雑誌『昭和40年男』2017年8月号(Vol.44)『再検証 昭和58年(1983年)』に掲載したものを一部抜粋したものです。
デジタル腕時計と言うと、カシオ『Gショック』が真っ先に頭に浮かぶという読者は多かろう。ブラックのウレタン製ボディをまとった、今なお世界中で人気の定番シリーズ。その初代機が産声を上げたのが1983年4月のことであった。『Gショック』が世界的に脚光を浴びるようになるのは90年代初頭の湾岸戦争の頃からだったとは言え、後に覇権を握るデジタル腕時計の名機誕生のきっかけが、1980年代初頭の戦国時代にあったことに間違いはない。 今回はそんな時代を彩りながら、いつしか我々の記憶の片隅に追いやられていた名機たちに焦点を当てたい。

今やデジタル腕時計の代名詞的存在となった人気シリーズの初代機 。ウレタン製のごっついブラックボディは存在感大だが、本格的に人気に火がついたのは90年代に入ってからだった。

世界で初めて録音再生機能を搭載した腕時計 、16キロビットRAMを2個内蔵し最長8秒(早口で50文字程度)の録音が可能となっている。電話中のメモ代わりや備忘録の他、アラーム機能 と連動して時間になると「これから会議」と知らせるなど、スケジュール管理の用途も想定されていた 。機能だけでなく、左右非 対称のデザインもインパクト大 。映画『ゴーストバスターズ』にも登場しており、デジタルならではの機能とデザインが見事に融合したモデルと言えるだろう。

世界初のアナログクオーツクロノグラフムーブメントを搭載 。5/100秒計測、 30分計、ストップウォッチ機能、タキメーターを備える。デザインはイタリアの工業デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロによる。デジタルではないが多機能性を謳う時代に合ったモデルだ。こちらは映画『エイリアン2』に登場。

タッチセンサースクリーンを採用し、時刻・日付とテンキーレイアウトの電卓機能を交互に表示することができた 。データバンクシリーズの先駆的モデルに位置づけられるが、現代のスマートウォッチのご先祖と言った方がいいかもしれない。






